【インタビュー】小田原のIT企業でスタートアップから上場企業までの経験
小田原のIT企業でスタートアップから上場企業までの経験

プロフィール

鈴木 淳也(すずき じゅんや)さん
年齢:40歳
形態:役員
入社:2005年8月
役職:取締役,CTO(最高技術責任者)
通勤:電車で30分

会社概要

社名:Hamee株式会社(東証1部 3134)
代表:樋口 敦士
資本:535,800 千円(2019年4月30日現在)
売上:売上(連結)103億円 ※2019年4月期
設立:1997年4月
(設立は1998年 5月 ※マクロウィル有限会社として)
従業員:連結311名(2019年4月30日現在)
事業:プラットフォーム事業・コマース事業・グローバル事業
場所:神奈川県小田原市
最寄駅:JR東海道線小田原駅徒歩5分

そろそろ、満員電車での通勤を見直しませんか? ジョブパーク湘南は、湘南を中心とした地域への転職やフリーランスのお仕事探しを応援します。今回は小田原市にあるIT上場企業、ハミィ社を訪問、取締役CTOとして働く鈴木さんにお話を伺ってきました。

小田原で働くのも面白そうと、東京から転職を決意

編集部:鈴木さんはHamee株式会社でCTO(最高技術責任者)を務めているということですが、まずは入社の経緯を教えていただけますか?
鈴木さん:大学卒業後、東京の会社で4年ほど働いた後、2005年の8月にエンジニアとして入社しました。もともと友人がここで働いていて、「エンジニアがいなくて探してるんだけど、いい感じの人ばかりだから」と誘われたのがきっかけで(笑)。ちょうど転職を考えていたタイミングだったので、小田原まで面接に行ってみたらトントン拍子で話が進んでという流れです。

編集部:鈴木さんの入社時から会社は小田原にあったのですか?
鈴木さん:小田原です。ここから徒歩5分ぐらいの場所にある倉庫兼オフィスみたいなところにありました。Hameeはもともと、代表がパワーストーンを使ったアクセサリーを販売するところから始まっていて、1998年の設立時はマクロウィル有限会社として、そのガレージから携帯ストラップの販売をしていたんです。

編集部:当時は小田原で働くことに抵抗はなかったですか?
鈴木さん:東京で転職してキャリアアップという選択肢もあったのですが、特に場所にこだわりもなかったですし、東京生まれでずっと東京で暮らしてきたので小田原に行くのも面白いかなと。

編集部:転職が決まってすぐに小田原に移住されたのですか?
鈴木さん:最初の1ヶ月間は東京に住んでいて、その後引っ越したのは相模大野です(笑)。小田原に移住したはその1年後です。それで今は茅ヶ崎に住んでいます。

編集部:入社後はどのような仕事をされていたのですか?
鈴木さん:
まずは、受注や出荷や仕入や発注の実務を教わりながら課題や問題点を把握していきました。そこから必要なツールや今のネクストエンジンの元となるシステムを開発しました。

コツコツとチーム作りを進め、働きやすい環境も整備

編集部:小田原のガレージから始まって上場するまで、採用も含めて会社を見てこられたと思います。小田原×IT企業は少ないですし、採用面でなかなか参考例もない中で苦労されたこともあったかと思うのですが、どのようにエンジニアを採用してチームを作っていったのでしょうか?
鈴木さん:携帯ストラップの販売会社として営業や卸も小田原でやっていて、東京じゃなくても会社が回るというのはわかったのですが、エンジニアを探すとなると圧倒的に母数が少ないので、2人目、3人目まではリファラル採用です。

編集部:まずは身近なエンジニアから採用していったということですね。しかし人数が増えてくるとそうもいかなくなってくるのではないでしょうか?
鈴木さん:はい、ネクストエンジンをリリースして5年目ぐらいの時期にエンジニアが10人になったのですが、やはり5人目、6人目ぐらいからは、小田原以外から呼ぶしかありませんでした。なので、一般の求人媒体を使って、小田急線や東海道線沿線で東京に通勤して経験を積んだ方に、「反対側は空いているのでそろそろどうですか?」みたいな(笑)。応募していただいた方1人ひとりを大切にするというスタンスで採用を進めていきました。

編集部:今でこそ働く場所が東京から離れていたとしてもそこまでネガティブなイメージはないと思いますが、当時はまだ印象もあまり良くなかったというのはありますよね。エンジニア採用の責任者として、会社が渋谷にあったらなんて思うことはありましたか?
鈴木さん:それはなかったですね。結局、事業は成長していますしずっと人は足りない、きっとこれからも足りないんですよね。なので、その状況に合わせて仕事のやり方を考えることが大事だと思っていました。

何事も自分事として捉え、事業も個人も進化・成長できる人に来て欲しい

編集部:チームのカルチャーとして、エンジニアを大切にするというスタンスはありますか?
鈴木さん:今も、これからもエンジニアがいない事には会社は成長出来ないのでもちろん大切です。エンジニアにかかわらず、会社として大切にしたいことがあります。HPにも掲載されているように、全社の向う方向であるビジョン「クリエイティブ魂に火をつける」そのような社員であって欲しいというバリュー「笑顔と入魂」というものです。これらに共感して頂ける方をベースのを採用基準としています。技術や言語は特に決まっているわけではなく、そこは人によって新しい仕事や事業など何でもできますから。

編集部:具体的にどのような経験や勉強内容を求めていますか?
鈴木さん:中途採用の場合、現状必要だなと思っているのはネクストエンジンやそれ以上の規模感のWebサービスの設計や運営を経験をしている方や特定の技術にこだわりを持ちそのスキルを活かしてエンジニアをリードしていきたい方、新規事業にも取り組んでいるのでスピード感を持ってサービス開発ができる方だと嬉しいです。

編集部:EC業界のシステムにかかわらずですか?
鈴木さん:はい、そうです。大規模かつ最新の技術も習得されている方に是非来て欲しいです。

編集部:求めないと来ないというのもありますしね。
鈴木さん:
はい、趣味もエンジニアリングとかプログラミング好きという人がやはり一番望ましいです。どんどん高望みになっていきますね(笑)。

編集部:他の企業もそういう方を求めている中で、御社を選んでもらうためのアドバンテージとしてやはり場所というのはあると思います。そこで、あえて御社がこの場所という切り口でアピールするとしたらどうですか?例えば30歳ぐらいになって結婚や育児のことを考えてライフプランの再設計をしようとした時に、東京よりもゆったり暮らせる環境でありながら、仕事もエンジニアとして充実させることができる点ですか?
鈴木さん:現実的に考えると、東京のエンジニアが移住しようと考えた時に、やはり年収の問題があると思います。その点に関してはHameeに転職していただくと、年収はほぼ東京からスライドします。さらに家賃は下がりますし、土地も安いので家を立てるのも現実的です。会社は上場しているので信用もありますよ(笑)。ただ、あまりそこをアピールする必要はないと思っています。
編集部:自分で動ける能動的な方は、そういうことも考えた上でチョイスするので、あまりアピールする必要はないかもしれませんね。

まずは温泉や食を通じて小田原の魅力を知ってもらう。そこから採用につながれば

編集部:御社では東京から移住されてくる方に対して何かサポートがあったりしますか?
鈴木さん:個別にサポートすることはありますが、会社の制度としてはまだ整備されていなくて、これから考えていくところですね。「働きたいけど金銭的にすぐには引っ越せない」と言われたら、早く働いて欲しいので引っ越し代ぐらいは出しますよ。移住しなくても新幹線通勤している社員も複数いるので移住前提である必要はありません。

編集部:20代、30代を東京で働き詰めてきて、結婚などを機に環境を変えたいという時に、そういったサポートがあると移住のきっかけになったり、お金の問題じゃなくても移住は面倒だなと思っている方には、そういったサポートがあればスイッチが入るかもしれませんね。今後も多くのエンジニアの方にきて欲しいということで、小田原だけじゃなくて東京にも拠点があって、フレキシブルな働き方もある程度許容されているということですが、より多くの方に来てもらうためにHameeという会社を知ってもらったり、エンジニアの方に魅力を伝えるために考えている手段はありますか?
鈴木さん:やはり一度会社に来てくれた方は一気にハードルが下がるので、最近はスタッフが勉強会などに参加した際、ぜひ一緒に働きたいと思う人とお会いできたら、名刺と一緒に「ハミチケ!」カードを渡すという取り組みをしています。「ハミチケ!」というのは、箱根の温泉に行きがてら会社に遊びに来てくださいねというお誘いのカードで、交通費の支給・一次選考のスキップという特典があります。

編集部:確かに、パイを増やすために温泉やご飯といった小田原の魅力を知ってもらうというのはアリかもしれませんね。
鈴木さん:先日、家族や友人を招待してもいいという社内イベントをやったんです。その友人の中にエンジニアの方が2名ぐらいいて、やはり印象は良かったみたいですね。
編集部:そういう方がたくさん増えてくれば口コミで広がっていくこともありそうですね。まずは小田原に来て楽しんでもらう中で小田原で働くことの魅力を感じていただけたらいいですよね。ありがとうございます。